十二月の風は、秋の名残りも気まぐれに混ぜてくる。
朝の空気は痛いくらい澄んでいて、夜は灯りの色がやたら優しく見える。
そんな季節に入ると毎年思う。
――ああ、世界は少しずつゆっくりになるんやなあって。
春や夏は前のめりで、なんでも明日に回せんような焦りもあるのに、
冬は逆や。急がなくていいって言うてくれてるみたいで。
窓の結露を指でなぞりながら朝の白湯をすすると、
「今日のペース」を決めるのは外じゃなくて、自分でええんやと思える。
◆ 冬の体は、心より先に季節を知る
布団が離してくれへん朝。
靴下二枚履きたくなる夜。
コンビニのおでん前でしばらく立ち止まってしまう帰り道。
理屈や予定より先に、体が季節に追いついていく。
この感覚、私は結構好きでね。
だって「休んでええよ」「ゆっくりでええよ」って
身体が代わりに言ってくれてるみたいなんやもん。
◆ あたたかいものを、あたたかいままに受け取る冬
湯気、吐く息、スープ、灯り、毛布の重み、言葉のあいさ。
冬って、あったかいものの価値が跳ね上がる季節や。
誰かの「おかえり」が少し沁みて、
メッセージの「気をつけてね」が胸の奥に灯る。
普段なら気づかん優しさにも、冬はめっぽう敏感になる。
たぶん人は寒いと、心のポケットを開けるんやと思う。
そこに入ってくるぬくもりが、やけに嬉しい。
◆ 焦らなくてええ。冬は“溜める季節”やから
外に出る元気がない日、
予定が進まん日、
理由なく寂しい日もあるやろう。
そんな時は、冬の速度で生きたらええねん。
木々が葉を落とすのも、
動物が冬眠するのも、
次の季節に備えて「ためてる」だけや。
私らも同じや。
元気を、熱を、思いを、少しずつ内側に溜めていく時期なんや。
無理に走らんでええ。
歩くんもしんどかったら、立ち止まってええ。
止まる勇気も立派な前進やで。
◆ 小さな灯りで充分、冬は進める
真っ暗な夜道でも、
一つだけ灯った窓の灯りがあれば、
人はちゃんと前に進める。
人生もそれと同じやと思う。
大きな目標より、
今日あったええことをひとつ拾う。
・手が温まるカップの重み
・風呂上がりの首にタオルを巻いた瞬間
・誰かの一言がそっと胸に触れたこと
・好きな音楽のイントロだけで救われた夜
そういう「小さな灯り」だけで、冬は十分や。
それが積もれば、気づいたときには春の曲がり角や。
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今夜の灯りは、いつもより少し低めで。
眩しくない光の下で深呼吸できたら、
冬の入り口はもう怖くない。
今日のあなたの夜に、
やわらかい温度がひとつでも灯りますように。
それを願いながら、また次の記事で会いましょうな。
――りつこより ❄