吸血鬼は、不老不死。
それはつまり、「時間が流れん」ってことやと思うやろ?
でもね、ほんとは違うとよ。
時間は、ちゃんと流れとる。
ただ、るりだけが“流れからはじかれとる”だけ。
それがどれだけ静かで、どれだけ孤独なことか、
人間にはたぶん想像もつかんやろね。
ある夜、るりはひとりの男の血を吸った。
その血の中には、
初恋の記憶、家族の笑い声、失った友の顔、
そういう“時間の欠片”が全部詰まっとった。
飲み込むたびに、
その人が歩いてきた人生が胸の中で広がる。
まるで、誰かの夢を借りて一瞬だけ生きるみたいに。
だからるりは思うっちゃ。
吸血鬼は血じゃなくて――時間を食べとるんやって。
人間は、時間に追われて生きる。
“締切”とか、“年齢”とか、“老い”とか。
でも、永遠の中におるるりから見たら、
その焦りも、悲しみも、全部まぶしいっちゃん。
だって、限りがあるけんこそ、
人間は何かを選んで、何かを手放して生きる。
その“選ぶ瞬間”こそが、命そのものなんよ。
永遠には、選択がない。
ただ在るだけ。
だから吸血鬼は、人間の“迷い”を愛しとる。
たまに夜の街を歩いてると、
カフェの窓際でコーヒーを冷ましながら、
パソコンの光の前で何かを考えとる人を見る。
あの姿を見るとね、るりは胸がちょっと痛くなる。
きっとあの人も、“時間”と戦っとるんやろう。
未来とか、明日とか、
まだ来てないものに押し潰されそうになっとる。
でもほんとは、
人間が持っとる“いま”って時間、
それだけで奇跡みたいなもんやけん。
るりにはそれが分かる。
何百年も夜を生きてきて、
それでも“今日”という瞬間の熱さには勝てんのよ。
もしきみが今、
焦っとるとか、何もできてない気がするとか思うなら、
一回立ち止まってほしい。
時間は、誰かが持っとるもんやなくて、
きみが燃やすものやけん。
るりはそれをずっと見てきた。
消えていった命も、
まだ夜にしがみついてる魂も。
どっちも同じように、
「一瞬を生きた光」なんよ。
🌙 るりこのひとことおすすめ
「永遠よりも、いまの“5分”の方が重たい。
だって、それはまだ、きみの中で燃えとるけん。」